吉見 範一

プロフィール

1952年、横浜市生まれ。

全国の商工会議所、法人会、産業振興事業団、日経BP「課長塾」、中小企業基盤整備機構中小企業大学校、ビジネススクール等で、中小企業の経営者を対象に講演/研修を続けている。35年間の実務経験から得た営業力に頼らない販売戦略の構築など、 経営者や企業の強みを引き出し、企業の未来を設計する「ちいさな会社」の経営コンサルタントとして活動中。

 

 

強みを活かせるその手法とは

1対多のコンサルティングが生み出す奇跡

最初に=Y's CLUB=の独自のコンサルティング手法についてお願いします。

コンサルティングの多くはコンサルタントと経営者が向き合う「1対1」の対面で行われますが、= Y’s CLUB = では、私と複数の企業の経営者が同じテーブルで向き合う「1対多」の形式でコンサルティングを行います。

なぜ、そのような方式が良いと考えたのですか?

実は、コンサルタントはクライアントから学ぶことがとても多いのです。

経営者が抱えている課題を一緒に検討して、仮設を立て、試行錯誤を繰り返し、よりよい方法を導き出していきますが、私自身こうした体験をするたびに、コンサルタントに求められるスキルもアップしています。

問題を解決するまでの過程を体験することがとても貴重だということに気づきました。

経営者が直面している課題には共通点が多く、直接のアドバイスも有効ですが、実は異なる業界に対するコンサルの内容を聞きながら自社に置き換えて考えるほうが、単なる理論や知識を増やすことより何倍も役に立ちます。

そこで一緒にコンサルティングに立ち会ってもらうOPENな形式を採用しました。

実際のコンサルティングは吉見さんと1対1なのですね。

「1対1」で行います。同じテーブルに異業種の経営者の方々に4名揃って着席してもらいますが、4社同時にコンサルティングを行うわけではありません。

まず1社目の経営者と向き合い、私と「1対1」で丁寧にコンサルティングを行います。残りの3社の経営者たちにはその様子をじっくりと観察してもらいます。

そうして始めた独自の方式ですが効果は?

参加した翌日から目を見張るような成果が出ると期待されても困りますが、これだけは言えます。

それはある段階から、自社の中長期的な成長が読めるようになることです。

= Y’s CLUB = に参加すると自社のコンサルだけではなく、他社にコンサルをしている様子も客観的に体験することになります。

同席している経営者は業界も、規模も、商材も、ターゲット層も、それぞれ全く異なるのに、経営の本質は同じであることがわかってくる。すると自社の課題のとらえ方が大きく変わってきます。つまり戦略的な視点が強化されることになるので自然と発想が変わり、ブレがなくなり、ゴールに到達するためには何が必要なのか見えてくるので、優先順位が明確になります。

他社の事例が生きたお手本になる。他社を参考にして無理をせず確実にできる手段を選んで行動に移せるので徐々に成果があらわれてきます。

するどい経営者は、聞く耳が良い

他業種から学ぶこと

他の人にも聞かれてしまう、そうした抵抗はなかったですか?

私も最初はそう思っていました。

実は数年前に = Y’s CLUB = の原型となった「キカクウル」という公開コンサルティングを行っていたときのことです。

過去にすぐれた結果を出している経営者ほど、第三者の意見を求めている人がとても多いことに気がついたのです。

自社の内情を第三者に知られることを警戒するよりも、自社に対する客観的な意見を知りたいという気持ちのほうが大きい。

とはいっても「だから経営者ならだれでもそうだ」とは断言できませんから、正直に言うと不安でした。

ところが= Y’s CLUB = を開始してみると、そうした不安は杞憂だったことがわかりました。

抵抗がないどころか、苦労を共にした仲間同士のようなとてもいい雰囲気でお互いの意見を交換するようになります。

さまざまな業種の経営者が一緒になるわけですが、雰囲気はどうですか?

参加メンバーは、お互いに自社とは異なる業界・業種の人たちなのでライバル視する必要もないし、競い合う必要もありません。

むしろ目の前にいる経営者が抱えている悩みに共感して、問題点をあぶりだし、抱えている課題に真剣に取り組み、もっといい解決方法がないだろうかと、参加しているメンバーひとりひとりがまるでコンサルタントのような思考回路を働かせるようになります。

現状を客観的にとらえるようになる。またどうすればいいのだろうと考えるようになる。すると自然と前向きな発想になるので、いいアイデアが浮かびやすい状況になります。

しかも出てくるアイデアは経験に基づいた実践可能なものが多く、具体的な行動に移しやすい。課題を抱えていた経営者は笑顔を取り戻し、とてもいい雰囲気に包まれていきます。

具体的な問題にフォーカスする

とりまとめとしての役割

チームとしてリードするときに、意識されていることはありますか?

参加者同士で規模や進捗の速度や成果を比較しないこと。他社との比較ではなく、自社の過去と現在との比較、つまり成長にフォーカスしてもらいます。これがもっとも重要だと考えています。

メンバーひとりひとりがすでに持っている知識は幅広く、また体験から導き出したノウハウはとても実践的です。

それを「いい話を聞いた」「ためになった」で終わるのではなく、異なる業種で活用するにはどうしたらいいかという方向に発想を転換してもらうことを重視しています。

OPEN collegeとはどんなセミナーですか?

基本的に = Y’s CLUB = のメンバーが実践して成功したマーケティングの事例を中心に詳しく解説するセミナーです。

これまで私は、全国の商工会議所からセミナーを依頼されてきましたが、こうしたセミナーはどうしても集客しやすいテーマにして欲しいというリクエストに偏りがちです。

人気のあるテーマとなると販売のテクニックが中心のものになる。

その点 = Y’s CLUB = の Open College は多くの人数を集める必要がないので、集客しやすいテーマを無視しています。

小さな会社が抱えている具体的な問題解決の方法や、次にステージに進むための基本的な考え方、マーケティングを構築するために欠かせない情報発信について、

また、今後予想される市場の変化など経営者が知りたい内容に絞り込んだテーマを中心に提供しています。

実践し、改善していく

これまでのこと

営業マンだった時代に、多くの実績を残されています。意識していたことはなんですか?

初めて営業を覚えたのは20代、小学生用百科事典の飛び込み営業からのスタートでした。

入社直後から好成績を叩き出し、優秀な人材だと見られていた新人が一年も経たないうちに徐々に売れなくなっていく姿や

才能がないと言われていた新人が、一年を過ぎたあたりからコンスタントに数字を上げるようになった姿を見ながら

私が学んだのは「努力をしない天才は、コツコツ努力を積み重ねている凡人に負ける」という教訓でした。

 

私自身、営業の才能やセンスに恵まれているわけではないので、ひとつひとつの経験から得たノウハウをいつでも使えるように商談用のツールに落とし込むなど、

できる限り現場ですぐに使えるように準備してきました。

 

用意したツールをすべて使いこなしたわけではありませんが結果的に大量に作って、試して、失敗して、作り直して……。

そうやって現場で学んだ小さなノウハウが少しずつ身についていったのだと思っています。

 

あのころから変わっていないのはまず試してみるという点です。

試せば改善点がわかります。そうやって試行錯誤を繰り返しながらブラッシュアップしていく。

思いついただけのアイデアはすぐに忘れてしまいますが、試して改善して何度も使ったものはいつまでも忘れないものです。

あのときの営業体験が机上の空論ではない、現場を前提として組み立てる戦略的な発想の手助けをしてくれていると思っています。

経営者を応援したい

これからのこと

営業中心のコンサルから「小さな会社の経営コンサル」を手掛けたきっかけは?

私が営業を覚えたモノ不足の時代は作れば売れた時代です。

いくら作っても人口が増え続けていたのでモノがあれば売れました。

もちろんそれなりの努力は必要ですが、がんばって営業すれば売ることができた。現在、営業関連の書籍などで紹介されている完成度の高い営業トークやツールの基本となるスタイルはこの時代に生まれています。

ですが、今は時代が違います。

生産能力が改善され、無駄なく効率よく大量に市場に投入できます。

そしてついに生産量が消費の量を超えてしまいました。市場はすでにモノ不足からモノ余りに変わっています。

数年前にある部品メーカーの営業支援を依頼されたとき、現状を知れば知るほど「営業担当者の個人的な能力に頼って売る時代ではない」と痛感しました。

出生率の低下が深刻になっています。

高齢化が顕著になってきました。市場はどんどん小さくなっています。

がんばって新製品を発表しても「売れる」とわかれば後追いで新規に参入してくる会社が一気に増えます。短期間にいくつものライバルが出現してくるし、さらに使いやすく改良された新製品や、これまでになかった新しいサービスも次々と登場してくる。

どの業界でも増え続けるブランド。減り続ける消費者。さらに商品の同質化が進み価格競争が激しくなっています。

しかも情報過多で絶え間なく最新情報が飛び込んでくる。それにともなって顧客も成長し続けています。

今は営業力を中心に新規開拓に取り組んでも効率が悪すぎる。

やはり小さな会社は経営方針を変えてマーケティングを中心とした戦略に切り替え、売り込みをしなくても売れる仕組みの構築を優先しなければ生き残れません。

そうした時代の変化に合わせてコンサルの内容を営業中心から経営中心に切り替えました。

横のつながりを活かす

ビジネスをサポートするプロ集団へ

今後、めざす方向はありますか?

= Y’s CLUB = に参加すると、メンバーは自社のコンセプトが決まります。

明確になったゴールイメージを実現するためにどのようなマーケティングを設計すればいいのかもわかってきます。

ところが小さな会社は社員の数に余裕がありません。

ギリギリの人数でがんばっています。そこにあらたに自社に合わせて設計したプランを導入して実践したくてもうまく稼働できないケースをいくつも見てきました。

戦略を実践するために必要な情報を集めるのも大変です。

苦労して集めた情報を整理して、分類して、仮説を立てて、ツールを用意するのも大変です。わかっていても人手が足りない。

それぞれのブロックに振り分けた見込み客に最適なタイミングで、もっともふさわしい情報を届けたたくいと思っても、物理的に実現できないのです。

これまでの活動を通して = Y’s CLUB = には、それぞれの分野のスペシャリストが集まっています。

そこでプロと一緒に設計したマーケティングのプランをもっと確実に、もっとスムーズに展開できる支援チームを作ることにしました。

チームのメンバーはパンフレットや名刺、DM、パッケージなどのデザインを得意とするプロのデザイナー、ニュースレターやお知らせなどの原稿の編集や校正を安心して任せられるプロのライター、顧客情報を管理するシステムの活用に詳しいプロのエンジニア、ブランディングやポジショニングを設計するプロのマーケッターが集まっています。

あなたのビジネスをサポートするプロ集団です。スペシャリストのチームです。

このメンバーが集まってすでにいくつかのテストを実践してきました。ようやく本格的に稼働するための準備が整ってきました。

あなたの会社の未来を設計して、販売戦略を構築して、確実に実践するスペシャリストたちのチームが全力で支援する体制をスタートさせます。

世の中のためにもっと貢献したいと願っている小さな会社が活躍できる時代にふさわしい活動を展開するつもりです。